濃縮純米熟成酒JO-CONとは
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醲献誕生に寄せて
「日本酒は醸造酒であった」と過去形で書くしかないというのが現状です。
日本酒の原料は(イ)米・米麹・水 (ロ)米・水・清酒粕・米麹・その他政令で定める物品(醸造アルコール・醸造用糖類・有機酸・アミノ酸塩など)と酒税法上ではなっています。(イ)はもちろん純米酒といわれるもので(ロ)はその他の日本酒です。当然(イ)の日本酒が「醸造酒」ということなのですが、これの占める割合は日本酒全体の約10%という少なさなのです。
酒税法では酒類と糖類その他の物品を原料としたものはリキュールと書かれています。それからすれば(ロ)のお酒は十分にリキュールと呼べるに相応しいお酒の条件を兼ね備えているわけですが、この同じ項でその他の物品は「酒類を含み政令で定めるものを除く」とありますから(ロ)は辛うじてリキュールではなくお上の定めたところの「清酒(日本酒)」となります。
昭和18年、アルコール添加が認められるまでは基本的に日本酒は米・米麹・水が原料の醸造酒でした。確かに江戸時代から「柱焼酎」という名のアルコール(焼酎)添加が酒造りの技術の一つとして存在していたのは事実です。明治30年代、全国でおよそ30%が腐造していたというくらいですから、江戸時代ではもっと腐造の危険は高かったでしょう。そういう時代の腐造などの忌避対策として焼酎添加が行われていたのですが基本的には醸造酒だったわけです。ですから日本酒は醸造酒だとどの本にも書かれています。
誰でもがそう思っています。しかし、現状は全体の90%が「リキュール」といえるものなのですから、日本酒は醸造酒であったと過去形でいわざるを得ないというわけです。
お米のお酒としての歴史は縄文時代に大陸からお米が入って来て以来、何千年も続いているのですが、醸造酒という形のお酒は第2次世界大戦という出来事を契機に日本国内では無くなってしまったのです。昭和17年満州で開発された「三倍増醸酒」(当時は“清酒”ではなく“第二次増産酒”とよんでいました)の手法が昭和24年に日本の国内でも採用され、酒税法上もこの年から日本酒は「醸造酒」ではなくなったのです。その後、商品としての本来の醸造酒・純米酒が国民の前に姿を現すのが昭和40年前後、それから40年も経つというのにその「純米酒」は全体の僅か10%という悲しさです。
「醲献」は原料が米・米麹・水ですから立派な醸造酒です。とはいえ、初めてこのお酒を口にした時正直、焼酎とどう違うのかという感想でした。聞けば、−30℃で凍らせ、水分を抜くことでアルコール度を高めたというのです。
熱を加え、揮発性のより高いアルコール分だけを蒸発させて水分と分離し、アルコール度数の高いお酒を造るのが蒸留酒です。従って、この「醲献」はその逆で、低温にして水分を除く「低温蒸留」とでもいう蒸留酒の一種ではないのかと思ったのです。しかし、よく考えると「蒸留酒」は熱を加え、源液から取り除いた(蒸留した)そのものがお酒であるのに対し、「醲献」は原液から水を取り除き残ったものをお酒としているのです。
酒税法上、純米原酒に加水しても純米酒なのですから、その逆の水分を抜いても純米酒なのではないでしょうかという疑問を誰でも持つでしょう。
そこで国税庁に電話を入れ質問をしてみました。純米酒の原酒に加水しても醸造酒ですと酒税局の方はいう。ならば、純米酒から水分を抜いても醸造酒でしょうかと。地方局個々の対応に任せるとのことでしたが、詳しくは後でお電話しますといったまま、いまだ返事がない状態です。
国税庁としては、こういったお酒の出現自体予想もしていなかったのではないかと思われます。
日本酒の不振原因の一つに「お店で飲んでも美味しくない」ということがあります。管理状態が悪く、本来の味から変質してしまったお酒が多いからなのです。輸送中の管理の悪さもあるでしょう、料飲店などの管理の悪さもあるでしょう。そういった発送から消費者の口に入るまでの管理の難しさが日本酒には多々あるのです。「醲献」はアルコール添加ではなしにアルコールを高めることでこれらの変質に対する杞憂を振り払い本来の醸造酒として、お米のお酒としての美味しさを常温管理で可能にした新しい「醸造酒」といっていいのではないでしょうか。
改めて、料理と一緒に口にしてみました。熟成され円やかになったおかげで、アルコール度の高さもさほど気にならず、お米の酒の美味しさが料理と一体となり胃の腑へ納まってくれます。氷と一緒にロックも楽しめます。加水することで、あるいはお燗という形をとることでまた別の味を楽しめます。
日本酒がリキュールになってしまってからの60年、それでも少しずつ醸造酒という本来の形の日本酒が育ち、漸くそのシェアが10%を超えてきた現在、また新醸造酒ともいうべき「醲献」が誕生したことは、日本酒ファンに新たな楽しみを増やしてくれることでしょう。
純米酒普及推進委員会委員長
漫画家
オフィス・タカセ代表
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