搾ったばかりの日本酒の色は、
少々青みがかった綺麗な黄色です。
 

 蔵で搾ったばかりの香り豊かな搾りたての生酒を飲んだことのある人は、酒がきれいな山吹色であることに驚かれたのではないでしょうか。日本酒が「無色透明なのがあたりまえ」と思っている方は多いと思います。お酒の中には旨み成分がたっぷり入っています。これらの成分は熟成させることでより複雑味を増した味の成分となり、同時に色調も琥珀色めいていきます。
 この色を取るには「活性炭」、つまり炭に吸着させて取り除きます。活性炭濾過は水道の蛇口に取り付ける浄水器の大きいものと考えてもらっていいと思います。活性炭の表面には無数の穴があいており、その大きさに応じて香りや色などの分子を吸着します。活性炭の種類は20種類ほどあり、これを大量に添加して濾過すれば、色は無色透明となります。
 色の分子を吸着しやすい炭は、同時に味に関係する成分も吸着しやすいので、味と香りもすっかり抜けてしまい、旨みのない酒になってしまいます。
 一概に活性炭濾過が悪いわけではありませんが、より良い酒質を提供することも可能ですが、特色のない酒になる可能性もはらんでいます。